今夜の1杯:3匹の猿が誘う、極上のリラックスタイム
ボトルの肩に3匹の愛らしい猿のメタルパーツがあしらわれた、「モンキーショルダー」。
ウイスキー棚に並ぶ重厚なラベルのボトルたちの中で、このモンキーショルダーはどこか茶目っ気があり、肩の力を抜いて楽しめばいいんだよと語りかけてくるような親しみやすさがあります。
しかし、そのカジュアルな見た目に騙されてはいけません。
「初心者向けでしょ?」と侮るなかれ。
このボトルには、シングルモルトの聖地・スペイサイドの情熱と、プロのブレンダーが追求した「究極のバランス」が凝縮されているのです。
4,000円台という価格でありながら、なぜ酸いも甘いも噛み分けた愛好家たちが「結局これに戻ってしまう」と口を揃えるのか。
今夜は、この世界中で愛されるブレンデッドモルトの真価を、皆様と共にじっくりと紐解いていきたいと思います。
至福の安らぎ時間を彩る、3匹の猿たちの魔法。どうぞ最後までお楽しみください。
背景と歴史:職人への敬意が込められた「名誉ある勲章」

「モンキーショルダー」というユニークな名前を聞いて、皆様は何を想像されるでしょうか?
実はこの名前には、ウイスキー造りの歴史における、職人たちへの深い敬意と愛が込められています。
このウイスキーを手掛けているのは、世界的なスコッチの名門、ウィリアム・グラント&サンズ社。
かつてウイスキー造りの現場では、発芽した大麦(モルト)を乾燥させる際、職人たちが重い木製のシャベルを使って手作業で何時間もかき混ぜる「フロアモルティング」という重労働が行われていました。
来る日も来る日も、重い麦芽を空中に放り投げる作業。
その過酷さゆえに、多くの職人たちが肩を痛め、腕がだらりと下がってしまう職業病に悩まされました。
その姿が「猿のようである」ことから、当時は「モンキーショルダー(猿の肩)」と呼ばれていたのです。
しかし、彼らはその痛みを恥じることはありませんでした。むしろ、美味しいウイスキーを造り上げた証、職人としての誇り高き勲章として捉えていたのです。
現在では機械化が進み、この症状に苦しむ職人はいなくなりましたが、彼らの献身と情熱を未来永劫語り継ぐために、このボトルには「モンキーショルダー」という名が付けられました。
また、このウイスキーは、グレンフィディック、バルヴェニー、そして幻の蒸留所と呼ばれるキニンヴィーという、スペイサイド屈指の3つの蒸留所のモルト原酒のみをブレンドして造られています。
グレーンウイスキーを使わない「ブレンデッドモルト」というスタイル。
これは、伝統への敬意と、新しい味わいへの挑戦が見事に融合した、現代スコッチウイスキーの傑作と言えるのではないでしょうか。
製品スペック

| 項目 | 内容 |
| 商品名 | モンキーショルダー (Monkey Shoulder) |
| 分類 | ブレンデッドモルト・スコッチウイスキー |
| 原材料 | モルト(大麦麦芽) |
| アルコール度数 | 40% |
| 容量 | 700ml |
| 生産地 | スコットランド(スペイサイド) |
| キーモルト | グレンフィディック、バルヴェニー、キニンヴィー |
| 製造元 | ウィリアム・グラント&サンズ社 |
| 参考価格 | 4,000円〜5,000円前後 |
※ブレンデッドモルト:複数の蒸留所のシングルモルトのみをブレンドしたもの。グレーンウイスキーは含まれません。
テイスティングノート
ここからは、五感を研ぎ澄ませてモンキーショルダーの真髄に迫っていきましょう。
「ミキシングのためのウイスキー」とも称されますが、まずはストレートでそのポテンシャルを確かめます。

見た目(Appearance)
グラスに注がれた液体は、輝きのある温かなアンバーゴールド。
照明にかざすと、まるで夕暮れ時の優しい日差しを閉じ込めたかのような、美しい琥珀色が揺らめきます。
グラスの壁面を伝う涙(レッグス)は、さらりとしていながらも適度な粘性を感じさせ、これから訪れるであろうまろやかな口当たりを予感させてくれますね。
見ているだけで心がほぐれるような、そんな安心感のある色調です。
管理人色味が本当に綺麗なんですよね。「濃すぎず、薄すぎず」の絶妙な黄金色で、ボトルデザインと中身の色がこれほどマッチしている銘柄も珍しい気がします。
香り(Aroma)
鼻を近づけた瞬間、真っ先に飛び込んでくるのは、フレッシュなオレンジや熟した洋梨を思わせるフルーティーなアロマです。
決して刺々しさはなく、その奥からたっぷりの蜂蜜とバニラビーンズの甘い香りが、優しく立ち上がってきます。
時間が経つにつれて、微かにシナモンやクローブのようなスパイス香、そして上質なオーク樽由来の温かみのある香りが顔を出し、複雑ながらも非常にバランスの取れたハーモニーを奏でてくれます。



この「バニラ×オレンジ」の香りがたまらないんです!まるで高級なパティスリーに入った瞬間のようで、ウイスキー初心者の方でも「あ、いい匂い!」と直感的に好きになれる香りだと思います。
味わい(Taste)
口に含んだファーストアタックは、驚くほどクリーミーでシルキー。
舌の上で転がすと、とろけるようなキャラメルとマヌカハニーの甘みがじゅわりと広がります。
中盤からは、香りでも感じた青リンゴや柑橘系の爽やかさが追いかけてきて、単に甘いだけでなく、立体的な味わいの層を楽しむことができます。
アルコールの刺激(ピリピリ感)はほとんど感じられず、「スムーズ」という言葉がこれほど似合うウイスキーもないのではないでしょうか。



スペイサイドの「いいとこ取り」感が凄いです。モルト100%なのに重たすぎず、スルスル飲めてしまうので、ある意味で「危険なウイスキー」かもしれません(笑)。
余韻(Finish)
飲み込んだ後も、幸せな時間は続きます。
余韻は中程度(ミディアム)で、甘く温かい感覚が喉の奥でじんわりと持続します。
最後の最後に、ほのかなスパイスとオークのタンニンが優しく引き締めてくれるため、後味は非常にクリーン。
嫌な雑味が一切なく、「もう一口飲みたい」と思わせる絶妙なキレの良さが、このウイスキーの完成度の高さを物語っていますね。



飲み終わった後のグラスに残る香り(残り香)まで甘くて美味しいです。余韻がしつこくないので、食事と一緒に楽しむのにも最適だと感じます。
最高の楽しみ方:魔法の「ハイボール」
モンキーショルダーは、そのままでも十分に美味しいですが、「カクテルに使われること」を前提にブレンドされたという経歴を持っています。
つまり、割り材との相性が抜群なのです。
私が個人的に最もおすすめしたい飲み方は、「ハイボール」です。
オレンジピールを添えた「オレンジ・ハイボール」にすると、さらにおすすめです。
モンキーショルダー特有のバニラ香とオレンジの柑橘感が炭酸とともに弾け飛び、驚くほど爽快でフルーティーな一杯に変わります。
【ペアリングのご提案】
このハイボールに合わせるなら、コンビニで手に入る「プレミアムロールケーキ」などのクリーム系スイーツが鉄板です。ウイスキーのクリーミーさと生クリームが口の中で溶け合い、極上のデザートタイムになります。 また、しょっぱい系なら「燻製ナッツ」や「ダークチョコレート」もおすすめ。カカオの苦味がウイスキーの甘みを引き立ててくれますよ。
おわりに
今回は、ボトルデザインの愛らしさと本格的な味わいを兼ね備えた「モンキーショルダー」をご紹介しました。
職人への敬意から生まれたこのボトルは、ウイスキーの楽しさや自由さを私たちに教えてくれます。
「ウイスキーは難しそう」と思っている方にこそ、最初に手に取っていただきたい一本ですし、飲み慣れた愛好家の方にとっても、その完成されたバランスは改めて感動を与えてくれるはずです。
今夜は、3匹の猿たちと共に、肩の力を抜いたリラックスタイムを過ごしてみてはいかがでしょうか?
皆様のウイスキーライフが、より豊かで楽しいものになりますように。


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