サントリー創業100周年を記念して、蒸溜所に眠る秘蔵古酒を惜しみなく使用し、リリースされた特別な一本、「響 サントリーウイスキー100周年記念 – Anniversary Blend –」。これは単なる限定品ではなく、サントリーが100年培ってきたブレンディング技術の粋を集めた、ジャパニーズ・ブレンデッドウイスキーの最高峰と言えるでしょう。その華やかさ、複雑さ、そして芸術的な調和をテイスティングノート形式で深く掘り下げます。
ブレンドの哲学:長期熟成が織りなす複雑美
このアニバーサリーブレンドは、酒齢の幅が非常に広い原酒を使用している点が最大の特徴です。酒齢17年以上の個性豊かな原酒をベースに、特に希少な酒齢30年を超える山﨑のミズナラ樽モルト、そして円熟した知多グレーン原酒を加えています。この贅沢なブレンドにより、「響」の持つ華やかさに、深い熟成感と重層的な複雑さが加わり、サントリーの過去100年の歴史と未来への想いが込められています。
テイスティングノート
色(Color):重厚な輝きを放つ琥珀色
深く、温かみのある琥珀色。長期熟成を経たモルト原酒が持つ、落ち着きと、光を浴びたときのまばゆい輝きを放ちます。
香り(Aroma):華やかさと奥深さの共演
グラスから立ち昇るのは、まず濃厚で華やかな香り。トップノートは、熟した柑橘系の果実(プラムやオレンジピール)やハチミツを思わせる瑞々しい甘さです。時間が経つにつれ、ミドルノートではミズナラ樽特有の白檀や伽羅(きゃら)のような高貴な熟成香が中心となり、このウイスキーの類稀なる奥行きを形成しています。
味わい(Taste):複雑にして完璧な調和
口に含むと、非常になめらかでシルキーな舌触り。長期熟成モルト由来の心地よい酸味を伴う豊かな果実味が広がり、その後にミズナラのウッディネスとスパイスが絶妙なアクセントを加えます。様々な原酒が渾然一体となりながら、すべての要素が完璧に調和しており、まさにブレンダーの芸術性が光る味わいです。通常の「響」に比べ、骨格の太い熟成感とコクを強く感じられます。
余韻(Finish):未来へ続く長いアフターテイスト
フィニッシュは、美しく、そして非常に長く続きます。口の中に甘い蜜のような余韻がまとわりつきながら、ミズナラと熟成モルトの深みが奥へと響きわたります。この多層で優雅なアフターテイストこそ、100年の歴史とブレンデッドウイスキーの最高峰たる所以です。
響が示すジャパニーズ・ブレンデッドの頂点
この記念ブレンドは、単なる原酒の寄せ集めではありません。異なる個性を持つモルトとグレーンが、熟練のブレンダーによって「調和」という最高の芸術に昇華されています。華やかで上品でありながら、長期熟成原酒がもたらす複雑な熟成感を兼ね備えたその味わいは、まさに日本のウイスキーが世界に誇るブレンデッドの頂点を示しています。

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