富山県にある若鶴酒造・三郎丸蒸留所が手がける「三郎丸蒸留所のスモーキーハイボール」は、日本のRTD(Ready to Drink)市場において、「ウイスキーとソーダだけ」というシンプルな構成と、その名の通り本格的なピートスモークを追求したパイオニア的存在のハイボール缶です。世界初の鋳造製ポットスチル「ZEMON」で蒸留された原酒を使用しており、その多層的なスモーキーさと、キレの良い飲み口が特徴。糖質・香料・着色料0で、クラフトウイスキーの魅力を手軽に楽しめます。
背景と個性:「ZEMON」原酒とスモーキーな伝統
三郎丸蒸留所は1952年からウイスキー製造を続けている歴史ある蒸留所ですが、近年その設備を刷新し、独自のウイスキー造りを確立しています。このハイボール缶の個性は、以下の要素によって形成されています。
- 世界初「ZEMON」:鋳物製のポットスチルは、熱伝導の特性が一般的な銅製と異なり、重厚で多層的な香味を持つ原酒を生み出すとされています。この個性がハイボールのボディの強さにつながっています。
- スモーキーな原酒:創業以来、三郎丸はスモーキーなウイスキー造りにこだわっており、この缶にもその信念が反映されています。スモーキーでありながら親しみやすい絶妙なバランスが特徴です。
- ピュアな構成:「ウイスキーとソーダだけ」というポリシーのもと、余計なものを加えず、ウイスキー本来の香味と炭酸の爽快感をストレートに味わえます。
感覚分析:穏やかなスモークとキレの良い飲み口
色(Color):非常に淡いクリアな色
グラスに注ぐと、非常に淡くクリアな色合い。熟成年数の若さやウイスキー比率のバランス、そしてピュアな原材料構成を思わせる、透明感のある見た目です。
香り(Aroma):穏やかな薫香とシリアルの甘さ
缶を開けた瞬間、あるいはグラスに注ぐ際に、穏やかで香ばしいピートスモークがふわりと香ります。「ガツンとした煙感」ではなく、やさしく品のある薫香です。奥には、麦芽やシリアルを思わせるほんのり甘いバニラのような香りも感じられ、攻撃的でなくスモーキー初心者にも親しみやすい印象です。
味わい(Taste):ドライなスモーク感とクリーミーな口当たり
口に含むと、炭酸のキレと共にどしっとしたスモーキーさが広がります。味わいはドライでシャープですが、同時にクリーミーな口当たりも感じられます。栗を思わせる微かな甘さと厚みがあり、アルコール度数9%という強めの設計ながら、キレの良さによってスムーズに飲み進められます。スモーキーさが主体でありながら、バランスの良さが光ります。
余韻(Finish):爽快感と薫香の心地よい持続
フィニッシュは比較的長く、爽快。炭酸のキレが効いた後、口の中にフレッシュなスモーキーフレーバーと麦芽の香ばしさが残ります。ナッツや微かなハチミツのような甘さが感じられ、クセと親しみやすさの絶妙なバランスを持った薫香が長く心地よく持続します。
最適な楽しみ方:キンキンに冷やして、食中酒として
このハイボール缶は、冷蔵庫でキンキンに冷やし、そのまま缶から飲むか、氷を入れたグラスに注ぐのが最適です。そのスモーキーさとドライな味わいは、特に肉料理や燻製系のおつまみと相性が良く、食中酒としても高いポテンシャルを発揮します。本格的な味わいを求める方におすすめできる、クラフトハイボールの傑作です。

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