シングルモルト山崎は、サントリーの創業者である鳥井信治郎が、日本の風土に合ったウイスキー造りの理想を追求し、1923年に京都郊外の山崎の地に設立した、日本最古のモルト蒸溜所の傑作です。このノンエイジ（NV）ボトルは、山崎の持つ多様な原酒の中から厳選された、ミズナラ樽原酒などの個性的なモルトをヴァッティング。その個性は、繊細で複雑な芳香と、滑らかで奥深い味わいにあり、ジャパニーズウイスキーの「繊細な調和」という美学を体現しています。
背景と個性：日本の風土とミズナラ樽の神秘
山崎蒸溜所は、桂川、宇治川、木津川が合流する湿潤で霧の深い土地に位置し、その気候がウイスキーの熟成に影響を与えます。山崎の個性を形作る主要な要素は、その原酒の多様性と、日本特有の樽材です。
- 多彩な原酒の使い分け：酵母、蒸留方法、樽材など、非常に多様な原酒を造り分け、それを巧みにヴァッティング（ブレンド）することで、複雑で多層的な味わいを生み出しています。
- ミズナラ樽（Japanese Oak）：日本特有のミズナラ材から作られる樽で熟成された原酒は、伽羅や白檀を思わせるオリエンタルでエキゾチックな香り（サンダルウッド）をウイスキーに付与し、山崎の最大の個性となっています。
- 繊細な口当たり：日本の気候下での熟成と、原酒の精妙なブレンドにより、非常に滑らかでクリーンな口当たりを実現しています。
感覚分析：甘くフルーティー、そしてオリエンタルな香り
色（Color）：明るい黄金色
明るく、輝きのある黄金色。若々しさと、華やかな原酒の存在を感じさせる色合いです。
香り（Aroma）：イチゴ、サクランボ、そしてミズナラの香り
ノーズは華やかで多層的。最初に、イチゴやサクランボを思わせる赤系のベリーのフルーティーな香りが立ち上がります。時間と共に、蜂蜜、バニラの甘さが現れ、最後に山崎の個性であるミズナラ樽特有の伽羅や香木のようなオリエンタルなニュアンスが優しく香ります。
味わい（Taste）：滑らかで繊細、広がる甘みと微かな酸味
口に含むと、その絹のような滑らかな舌触りに感動します。味わいは上品な甘さ（蜂蜜、カスタード）が主体で、それを包み込むように微かな酸味（クランベリーやリンゴ）が広がり、立体感を生んでいます。繊細でクリーンなボディで、ジャパニーズウイスキーらしい飲みやすさと奥深さを両立させています。
余韻（Finish）：長く続く甘さとミズナラの余韻
フィニッシュは比較的長く、心地よい甘さが持続します。フィニッシュの最後に、ミズナラ樽由来の香木のようなウッディなニュアンスがゆっくりと立ち上がり、エレガントに幕を閉じます。非常にクリーンで洗練された余韻です。
最適な楽しみ方：ストレートまたはトワイスアップで
山崎NVの持つ繊細で複雑な芳香と滑らかな口当たりを最大限に楽しむためには、ストレート、またはトワイスアップ（ウイスキーと同量の水を加える飲み方）が最適です。水を加えることで、堅く閉ざされていたミズナラやフルーティーな香りが開き、より複雑なニュアンスを楽しめます。また、ハイボールにしても、その上品な甘さが割り負けせず、贅沢な爽快感を楽しめます。
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