今日は、いつもとは少し違う、しかしウイスキー愛好家なら誰もが胸を躍らせる「宝探し」のような体験についてお話ししたいと思います。
先日、ネット上のウイスキー量り売り専門店「ひとくちウイスキー」さんにて、とあるセールが開催されていたのをご存じでしょうか?
なんと、一部ラインナップのセールが行われていたのです。
ウイスキー好きにとって、「セール」という言葉ほど甘美な響きはありませんよね。しかも、フルボトルではなく「30mlの量り売り」でのセール。これはもう、「未知の銘柄との出会い」を約束された招待状のようなものです。
今回は、私がこのセールで思わず「大人買い」してしまった18種類のウイスキーたちの紹介と、そもそもなぜ私が「量り売り」というスタイルをこれほどまでに推奨するのか、その意義について、熱く、そしてのんびりと語らせていただきます。
長くなりますが、琥珀色の液体をグラスに注ぎながら、ゆっくりとお付き合いくださいね。
30mlの小瓶に詰められた「無限の冒険」

まず、購入品をご紹介する前に、改めて「ウイスキーの量り売り」を利用する意義について触れておきたいと思います。
皆さんは、ウイスキーを買うとき、どうされていますか?
もちろん、行きつけのバーでマスターのおすすめを飲むのも最高です。酒屋さんで美しいラベルのフルボトル(700ml)をジャケ買いするのも、ロマンがありますよね。
しかし、フルボトル購入には常に「リスク」がつきまといます。
「もし、自分の好みに合わなかったらどうしよう?」「この1本で1万円…失敗したら痛いな」
そんな不安がよぎり、結局いつもの慣れ親しんだ銘柄に手が伸びてしまう。そんな経験、ありませんか?
冒険のハードルを下げる魔法の単位
ここで輝くのが「30ml」という魔法の単位です。
30mlといえば、バーでのワンショット(シングル)とほぼ同量。つまり、自宅にいながらにして、バーでの「最初の一杯」を疑似体験できる量なのです。
- 失敗を恐れずに済む:好みに合わなくても、30mlなら「良い経験だった」で済みます。逆に、ここから生涯の伴侶となるボトルが見つかることもあります。
- 憧れの高額ボトルに手が届く:フルボトルで3万円、5万円するような古酒や長熟ボトルも、30mlなら1,000円〜2,000円台で試すことができます。これは「味の記憶」を蓄積する上で非常に効率的です。
- 自宅がテイスティングルームになる:誰の目も気にせず、時間をかけて香りの変化を楽しむことができます。
今回の「ひとくちウイスキー」さんのセールは、まさにこの「冒険のハードル」を極限まで下げてくれたイベントでした。通常価格でもお得なのに、さらに安くなっているとなれば、迷わずカートに入れるしかありませんよね。
衝撃の「セール」戦利品、全18種を公開
さて、ここからは今回私が購入した珠玉の18本をご紹介しましょう。
今回のラインナップ、我ながら「素晴らしいバランス」で選べたと自負しております。
アイラモルトのパンチ力、長期熟成の深み、そして普段飲み用のバーボンまで。
合計金額はそれなりにいきましたが、これだけの種類をバーで飲んだらとんでもない金額になります。それが自宅で楽しめる。まさに家飲みの革命ではないでしょうか。
それでは、カテゴリ別に見ていきましょう。
1. 王道バーボンとアメリカンウイスキーの底力
まずは、アメリカンウイスキーから。今回は驚きの安さになっていた銘柄がありました。

エライジャクレイグ(30ml)
- 価格:176円(税込)
これ、価格の表記ミスかと思いました。176円です。自動販売機のジュースと変わらない価格で、あの「エライジャクレイグ」が飲めるのです。
バーボンの父と称される牧師の名を冠したこのボトル。濃厚なブラウンシュガーのような甘みと、焦がした樽の香ばしさ。「とりあえずの1杯」としてこれほど贅沢な選択肢はないでしょう。
ワイルドターキー ケンタッキースピリット(30ml)
- 価格:359円(税込)
そしてこちら。ワイルドターキーのシングルバレル、「ケンタッキースピリット」です。
通常のターキーよりもさらに厳選された樽からボトリングされるため、複雑さと力強さが段違いです。これが300円台というのは、まさにセールの奇跡ですね。
2. アイラの煙に抱かれたい(ラフロイグ祭り)
今回はなんと4種類ものラフロイグを確保しました。これを並べて飲み比べ(バーチカル・テイスティング)ができるなんて、考えるだけで涎が出てきそうです。

ラフロイグ ブローディア(30ml)
- 価格:1,116円(税込)
「ブローディア」は免税店向けなどでリリースされた、ポートワイン樽フィニッシュのラフロイグ。
消毒液のようなピート香と、ポートワイン由来のベリー系の甘酸っぱさが融合した、妖艶な一本です。フルボトルで買うには勇気がいる価格帯なので、この量り売りは本当に助かります。
ラフロイグ 11年[2004] OMC スペシャルカスクストレングス(30ml)
- 価格:1,606円(税込)
老舗ボトラー「ハンターレイン」社のOMC(オールド・モルト・カスク)シリーズ。
カスクストレングス(樽出し原酒並みの度数)でのボトリング。加水されていない、荒々しくも純粋なラフロイグの魂を感じられるはずです。
ラフロイグ 9年[2005] クーパーズチョイス(30ml)
- 価格:926円(税込)
こちらは「クーパーズチョイス」。9年という若さですが、ラフロイグは若いほどヨード香とスモーキーさが暴力的で美味しいことが多いのです。1000円を切る価格でボトラーズのラフロイグが楽しめるのは貴重ですね。
ラフロイグ 14年[2001] オールドパティキュラー(30ml)
- 価格:1,606円(税込)
ダグラスレイン社の「オールドパティキュラー」。14年熟成。
9年、11年、14年と飲み比べることで、ラフロイグが熟成とともにどのように角が取れ、フルーティーさを増していくのかを実験できる。これこそが今回のハイライトかもしれません。
3. 個性派ボトラーズとアイラの仲間たち
ラフロイグ以外にも、アイラ島や島嶼部の素晴らしいモルトを確保しました。

ポートシャーロット 10年[2004] モルツオブスコットランド ルロワレッドワインカスク(30ml)
- 価格:1,989円(税込)
今回の購入品の中で最高額(約2,000円)となるのがこちら。
ドイツのボトラー「モルツオブスコットランド」から、ポートシャーロットの赤ワイン樽熟成です。
「ルロワ」の赤ワイン樽…もしやあのドメーヌ・ルロワでしょうか? だとすればとんでもないお宝です。ピートスモークと最高級赤ワインのタンニンのマリアージュ。期待値はMAXです。
カリラ 15年[2000] モルツオブスコットランド(30ml)
- 価格:1,606円(税込)
こちらも同じくモルツオブスコットランド。カリラはアイラの中でも「優等生」ですが、15年熟成のボトラーズとなれば、オイリーでスモーキー、かつ柑橘系の爽やかさが際立っていることでしょう。
ボウモア 13年[2001] モルツオブスコットランド(30ml)
- 価格:1,309円(税込)
アイラの女王、ボウモア。2000年代初頭のボウモアは、パフューム香(石鹸のような香り)が抜け、トロピカルフルーツのようなニュアンスが出始めていると言われています。このボトルはどうでしょうか。検証が必要です。
ブルックラディ アイラバーレイ(30ml)
- 価格:714円(税込)
テロワール(土壌や気候)にこだわるブルックラディ。アイラ島産の大麦のみを使用したこだわりの一本。「土地の味」をダイレクトに感じることができる銘柄です。
キルホーマン サナイグ(30ml)
- 価格:570円(税込)
ブナハーブン クラックモナ(30ml)
- 価格:841円(税込)
キルホーマンのシェリー樽系「サナイグ」と、ブナハーブンのピーテッドタイプ「クラックモナ」。どちらもオフィシャルの定番寄りですが、改めてじっくり味わうには最適なサイズです。
4. 長期熟成のロマンと隠れた名品たち
最後は、30年オーバーの長熟品や、知る人ぞ知る名品たちです。

ハイランドクイーン 1561 30年(30ml)
- 価格:1,564円(税込)
目を疑いました。「30年熟成」が1,500円台です。
ブレンデッドウイスキーとはいえ、30年の時を経た原酒が使われていることの重み。まろやかで絹のような舌触り、枯れた樽のニュアンス。これをこの価格で体験できるのは、量り売りならではの奇跡です。
ホームブレンド 35年[1980] バレルセレクション(30ml)
- 価格:1,904円(税込)
さらに上を行く35年熟成。1980年蒸留。私が生まれる前の原酒です。歴史を飲むという行為。これぞウイスキーの醍醐味ではないでしょうか。
グレンドロナック トラディショナリー ピーテッド(30ml)
- 価格:462円(税込)
レダイグ 10年(30ml)
- 価格:425円(税込)
ロッホローモンド シングルグレーン(30ml)
- 価格:331円(税込)
レッドブレスト 15年(30ml)
- 価格:642円(税込)
シェリー樽の名門ドロナックのピーテッドタイプや、隠れた実力派レダイグ。そしてアイルランドの宝石、レッドブレスト15年。
これらは「常備酒」の候補を探すためのテイスティングとして購入しました。特にレッドブレスト15年のポットスチルウイスキー特有のオイリーさとスパイシーさは、600円台で味わえる満足度を遥かに超えているはずです。
今回の購入データまとめ(フルボトル価格比較付)
今回購入した全18種類の詳細データを、「もしフルボトル(700ml)を買ったらいくらするのか?」という参考価格とともにまとめました。
こうしてリスト化してみると、改めて「多様性」と「コストパフォーマンス」の凄まじさに圧倒されます。
量り売りがいかに「お得に良いお酒を試せるか」がお分かりいただけるはずです。
| 商品名 | 量り売り価格(30ml) | フルボトル実売価格(700ml換算・参考) | 備考 |
| エライジャクレイグ スモールバッチ | 176円 | 約4,500円 | コスパ最強のバーボン |
| ラフロイグ ブローディア | 1,116円 | 約16,000円 | ポートワイン樽フィニッシュ |
| ワイルドターキー ケンタッキースピリット | 359円 | 約9,350円 | シングルバレル |
| ラフロイグ 11年[2004] OMC | 1,606円 | 約29,700円 | カスクストレングス |
| ラフロイグ 9年[2005] クーパーズチョイス | 926円 | 約15,000円※ | 若きアイラの暴れ馬 (※推定) |
| グレンドロナック トラディショナリー ピーテッド | 462円 | 約8,400円 | シェリー×ピート |
| ポートシャーロット 10年[2004] MoS | 1,989円 | 約30,000円※ | 赤ワインカスク (※推定) |
| レダイグ 10年 | 425円 | 約4,800円 | 隠れた銘酒 |
| カリラ 15年[2000] モルツオブスコットランド | 1,606円 | 約15,750円 | 長熟ボトラーズ |
| ホームブレンド 35年[1980] バレルセレクション | 1,904円 | 約50,000円 | 歴史を飲む35年熟成 |
| ボウモア 13年[2001] モルツオブスコットランド | 1,309円 | 約20,000円※ | アイラの女王 (※推定) |
| ハイランドクイーン 1561 30年 | 1,564円 | 約20,900円 | 破格の30年物ブレンド |
| ラフロイグ 14年[2001] オールドパティキュラー | 1,606円 | 約25,000円※ | 熟成感の比較に (※推定) |
| ブルックラディ アイラバーレイ | 714円 | 約8,000円 | テロワールの追求 |
| キルホーマン サナイグ | 570円 | 約9,350円 | 濃厚シェリー |
| ブナハーブン クラックモナ | 841円 | 約10,000円 | 珍しいピーテッド |
| ロッホローモンド シングルグレーン | 331円 | 約3,850円 | 軽快なグレーン |
| レッドブレスト 15年 | 642円 | 約12,000円 | アイリッシュの至宝 |
※フルボトル価格はECサイトや過去の販売履歴を参照した概算です。希少なボトラーズもの(MoS、OMCなど)はプレミア価格が含まれる場合や、現在入手困難な場合があります。価格は購入時のセール価格および税率10%適用時のものです。
編集後記:これから始まる「夜の楽しみ」
いかがでしたでしょうか。
これら18本の小瓶が手元に届いたときの高揚感。それは、子供の頃におもちゃ箱をひっくり返した時の感覚に似ています。
今回の「セール」での購入は、単に安くお酒を手に入れたという以上の意味があります。
それは、普段なら出会うことのなかったであろうウイスキーたちとの「ご縁」を買ったということです。
もし私がフルボトルしか買わない主義だったら、一生「ハイランドクイーン 30年」を飲むことはなかったかもしれません。「ラフロイグ」をヴィンテージ違いで4種類も並べる夜は来なかったでしょう。
30mlの量り売りは、私たちのウイスキーライフを「深く」「広く」拡張してくれる、最高のツールですね。
さて、もちろん買っただけでは終わりません。
これからは、この18種類のウイスキーを一本ずつ(あるいは数本ずつ)、じっくりとテイスティングし、詳細なレビュー記事としてこのブログ「Stella Malt」でご紹介していく予定です。
- ラフロイグ4種飲み比べの結論は?
- 176円のエライジャクレイグの実力は?
- 35年熟成のブレンドはどんな夢を見せてくれるのか?
そんな記事を、香りや味わいの細部まで言葉にしてお届けしたいと考えています。
皆さんの気になった銘柄はありましたか?
「これを早くレビューしてほしい!」というリクエストがあれば、ぜひコメント欄で教えてくださいね。
それでは、次回のテイスティング記事でお会いしましょう。今夜も、良いウイスキーライフを。

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