ケンタッキー州を代表するストレート・バーボン・ウイスキー「フォアローゼス(Four Roses)」は、その華やかでフローラルな香り、そして非常にスムースな口当たりで知られています。バーボン初心者から愛好家まで広く親しまれていますが、その裏側には「10種類の異なる原酒」を使い分けるという、他に類を見ない複雑な製造哲学があります。
フォアローゼスの個性:10種類の原酒を使い分ける哲学
フォアローゼスは、他社が通常数種類しか使わないのに対し、5種類の酵母(イースト)と2種類の穀物配合(マッシュビル)を組み合わせた合計10種類のレシピで原酒を造り分けています。この原酒の組み合わせにより、フォアローゼス特有の繊細で複雑なフレーバーが生まれます。
レギュラーボトル(イエローラベル)は、この10種類の原酒をブレンドすることで、高い品質と安定した華やかさを実現しています。
テイスティングノート:フローラルで柔らかなバーボン (レギュラーボトル)
ここでは、フォアローゼスのエントリーモデルであるレギュラーボトル(イエローラベル)のテイスティングノートを紹介します。これはフォアローゼスのハウススタイルが最も分かりやすく表現されているボトルです。
色(Color):明るい琥珀色(ゴールデンアンバー)
明るく輝きのある琥珀色。熟成が比較的若いため(熟成期間は非公表)、色が濃すぎず、原酒の繊細さが感じられます。
香り(Aroma):エレガントで華やかなフローラル(バラのよう)
フォアローゼスの最大の個性であるフローラル(花)のような香りがグラスいっぱいに広がります。特にバラやジャスミンを思わせる繊細な華やかさは、他のバーボンではなかなか味わえません。その奥から、熟した洋梨やリンゴのようなフルーティーさ、そしてバーボン樽由来のバニラやハチミツの甘さがエレガントに立ち昇ります。非常に洗練されたアロマです。
味わい(Taste):スムースでクリーミーな口当たり
口に含むと、非常に柔らかくスムースな口当たり。トウモロコシの甘さがベースにあり、バニラキャラメル、メープルシロップのような甘みが広がります。アルコールの刺激は穏やかで、軽快なフルーツ感と微かなナツメグのスパイスがアクセントになっています。
余韻(Finish):中程度で優しいウッドスパイス
余韻は中程度で、長く引きずらずに優しく消えていきます。ほのかなオーク樽のスパイス(シナモンやクローブ)、そして口当たりに残る柔らかな甘みが、もう一口を誘います。
その他の主要ラインナップ(飲み比べのヒント)
フォアローゼスは、ブレンドによって個性を変化させています。レギュラーボトルを気に入ったら、ぜひ以下のボトルを試して、10種の原酒の違いを感じてみてください。
🌟 スモールバッチ(Small Batch)
厳選された4種類の原酒をブレンド。レギュラーよりも複雑さと熟成感が増し、ドライフルーツやスパイスの層が厚くなります。
🏆 シングルバレル(Single Barrel)
10種類のうち、特定の1種類の原酒のみを瓶詰め。力強いフルーティーさと長い余韻が特徴で、レシピの個性が最も強く現れるボトルです。
4. おすすめの楽しみ方と飲み比べ
フォアローゼスの華やかな個性を最大限に引き出し、ボトルごとの違いを楽しむためのおすすめの飲み方をご紹介します。
- ストレート / トワイスアップ: シングルバレルやスモールバッチのような個性的なボトルは、水を少し加える(トワイスアップ)か、ストレートで複雑な香りの変化をじっくり楽しむのが最適です。
- ハイボール: レギュラーボトルは、炭酸水で割ったハイボールにすると、フローラルな香りが爽やかに弾け、幅広い食事に合う軽快な飲み口になります。
💡 飲み比べのヒント
もしバーボンに飲み慣れているなら、レギュラーボトルをハイボールで楽しんだ後、より個性的なスモールバッチやシングルバレルをストレートやトワイスアップでじっくり味わい比べるのがおすすめです。

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